きたきた捕物帖(1) 宮部みゆき 感想レビュー備忘録。 作家買い。やっぱり上手いな~。面白いのでおすすめ。

作家買い。

裏切られませんでした。

宮部作品にはよくあるんですが

前の作品に出ていた、あの人、あの場所が

新作にちりばめられる、ってのがありまして

本作も

主人公の北一が住んでいるのは、

『桜ほうさら』で笙之介が住んでいた「富勘長屋」

(桜ほうさら、って暗い話なのよ・・。)

『〈完本〉初ものがたり』で登場した「謎の稲荷寿司屋」の正体が明らかに⁉

本作だと、え~、って感じ

物語は

まだ下っ端の、雑用係でしかない見習い岡っ引きの北一(16歳)が主役。

3歳の頃に、親にはぐれて

迷子として親分が預かったけど、迷子届がなかったので

捨てられたんだろう、って。

拾って育ててくれたのが

イケメンでやり手だった千吉親分。

岡っ引きの親分は、手当だけではやっていけません(薄給だし下っ引きを養ってる)

賄賂を盗るか、本業を持つか、なんですが

千吉親分の本業は、文庫売り(本や小間物を入れる箱を売る商売)

北一は、その箱売りを手伝って生計を立ててました。

でも、親分がふぐに当たって急死して

生前から、十手は配下のものには継がせない、って明言してて

配下は散り散りになります。

親分の本業の、文庫売りを継いだのが一の子分・万作なんだけど、この女房・おたまが性悪。

親分の未亡人・松葉は、間に入った人がいて、お金をもらって別居。

小女のおみつ一人をおいて、盲目だけど自立してます。

北一は、性根の良い子で、親分に自分の子のように育てられただけのことはあるって

親分を知る何人かにほっこり愛されてますが、当人は自信がないのね。

十手ももちろんもらえず、性悪妻のおたまにいじわるされながら

文庫のふり売りで生計を立てることに、

ってのが、性格&背景描写です。

前に、初ものがたりも、桜ほうさら、も

備忘録レビューしてます。←こちら。

ふぐと福わらい

双六神隠し

だんまり用心棒

冥途の花嫁

4つの事件に、北一、おかみさん、元忍者らしいきたじ、と登場人物が絡みます。

ふぐと福笑い、は、千吉親分がふぐで亡くなっての顛末と

親分が亡くなったから、相談相手がいない、って話から

呪いの福笑い、を、無事に治めるために、盲目の女将さんがでばって

無事に始末する話。

双六神隠し、は

三人の寺子屋通いの仲のいい三人男子がいて

その子たちが、双六を拾って遊んだら、一人が神隠し

一人に3両が支払われ、最後の一人が、閻魔様のとこへ、って。

姑にいびられて息子を取り上げられ、姑に似たその息子を愛せないって母親に

うとまれた跡取り子が

賢く頭でひねりだした作戦でした。

可愛そうだけど、深いお話。

だんまり用心棒は、北一が、ある屋敷の床下に埋まっていた人骨の始末を頼まれ(ほぼ、おしつけられ)

始めは嫌だったけど、屋敷の人は同情してやさしくしてくれるし

骨の人だって、好きでここで死んだんじゃないんだ、って思うようになると

供養かねて、大事にしてやろう、って思うのね。

こういうとこが、北一がみんなに愛されるゆえんです。

で、人骨が持っていた烏天狗の根付。この図柄を公開して名前探しをするのですが

北一をいろいろかまってくれてる

差配人の富勘が、北一と一緒に成敗した性悪跡取り男(今は勘当された)の恨みをかっていて

富勘が拉致られ、血痕が残り、ってことがあって

皆が、次は北一が狙われる、ってやんわり守っていたら

北一が動き回って、あるぼろい湯屋へとたどり着きます。

そこの釜たき男が、浮浪者で行き倒れたのを、助けてもらってから働いてる若者で

15年前に亡くなった身内の「喜多治」って名前をもらって、居場所をもらっててその体に、烏天狗の入れ墨が。

おお。

で、キタジは、北一が、親父の亡きがらを大切に掘り返してくれた、って恩を感じ

湯屋のみんなにも恩を感じて、いろいろ動くわけです。

このキタジが、むさくるしいかっこしてますが

実はイケメンで、動きをみると、忍者かな?

キタジの手助けで富勘を助けて、キタジは、だんまりしながら、湯屋の用心棒なんだな、ってキタイチは思って

キタジが、人骨とのかかわりあり、ってことも、いろいろなことも

黙って、交友関係だけがつづくようです。

このキタジ、が登場して、北一とキタジできたきた捕物帖なのか?

文庫を売ってくれる、万作の女房のおたまが

北一を、それは邪険にするので

ついに、周りが動き出し

北一も、おたまが「女将さんに金を払ってるのは私らだ」って言い出したので

ついに切れまして、縁切りです。

縁切りしたあと、文庫売りをするために

自分で文庫をこさえないといけないんですが

そこで、文庫に絵をかいてくれる人を探して

たどりついたのが、ケヤキ屋敷の若様です。

けやき屋敷は、北一がたまたまご縁を得た

小普請組組頭・椿山勝元の下屋敷で

ここに、用人の青海新兵衛さんがいて

この人とも、北一は友好関係になります。

お武家様だから、友人にはなれないんですが

青海さんが許してくれてるので、茶飲み友達。

で、この時代、プロの絵師は高いけど

お武家さまの内職なら安いよ、ってことで

若様が暇つぶしになる、って感じで絵をかいてくれて

これを文庫に仕立てることになりました。

そんなこんなで、北一の独立話は好調だったんですが

最初の品を披露する席で

亡くなった妻の生まれ変わり、ってのが現れて

婚礼は破談になります。

人慣れした富勘とかは、騙りだな、って見抜いてますが

愛妻の生まれ変わり、って言われて、大店の跡取りが

結婚が決まっていた相手より、生まれ変わりを自称する小娘にたぶらかされ

さらに、元乳母に、大店の妻と、二人が亡くなる事態に。

女将さんが出張って、犯人をあげますが

跡取りさんの結婚話は流れるしね・・

後味の重いお話です。

でも、北一は、悪党を捕まえられて感謝されるのはいい仕事だ、って

岡っ引きへの道を歩き出し

キタさんに、また来るよ、って伝えてびっくりされるのでした。

って感じで読了。

面白くて、一日で読んじゃった。

これ、続きがでるようです。

次巻も読みます(^^)

きたきた捕物帖posted with ヨメレバ宮部 みゆき PHP研究所 2020年06月01日頃 楽天ブックスAmazonKindle

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