隠居おてだま(隠居すごろくの続き) 西條奈加 推し本。私の感想レビュー備忘録。善き作品の続編。千代太9歳編。

推し本。

推し作家の時代小説です。隠居すごろく、がとても良かったんですが

エピローグで爺様が隠居後12年でなくなって、葬式の場面だったから

完結だと思ってました。

そしたら、隠居2年後の本作が出て、とってもうれしい。

これ、NHKあたりで時代劇ドラマにしてほしいな。

隠居おてだま [ 西條 奈加 ]

隠居おてだま 目次

1,めでたしの先

2,三つの縁談

3,商売気質

4,櫛の行方

5,のっぺらぼう

6,隠居おてだま

隠居おてだま ネタバレ注意

この本が出て、前の「隠居すごろく」を読み返しました。

糸問屋の6代目に生まれ、がっつり厳しく育てられ

還暦になって、やっと家から自由になれた徳兵衛さん。

能面みたいな奥さんを息子夫婦のとこにおいて、一人できまま、のはずが

閑で仏頂面に。そこへ、長男の息子である千代太(8歳)が遊びにくる、というお話

隠居所に、千代太の拾った犬、千代太の拾った兄妹、なんかが出入りして

兄妹のアル中気味だった、夫に出奔された母親を、一喝して組みひも職人として再出発させ

王子権現の境内で小遣い稼ぎする子供たち(親が病気とかで子供の稼ぎが命)が隠居所に来たから、

彼らのために、芝居をさせたりしたら、土地のヤクザと因業役人に戯作者が牢入りさせられ

そのために、昔だったら絶対に払わない役人への賄賂を渡したり

息子が騙されて800両取られても、叱りはするけど見放しはせず

子供たちとの関係で、少しずつ丸くなりつつも、いろいろ解決してくとこが魅力でした

で、隠居所生活も2年目となったのが本作。

奥さんのおとせさんが、隠居所で始まった無料寺子屋の先生になり

隠居所に来る子たちに、おやつや昼飯を用意してやり

(隠居所の飯が唯一の食事だったりする子がほとんど)

権現様での「子供案内事業=千代太屋」の集会所にもなっていますが

小さな子たちで使えそうな子たちは

隠居所での「五十六屋」という組紐屋の職人修行を始めたりしてます。

で、組紐職人筆頭のおはち(息子は勘七。なつ)のとこに、榎吉という旦那が戻りますが

どうも様子がおかしい、ってことで、母と息子が挙動不審となり

で、榎吉を尾行したら、父には家出中に女がいたらしい!ってことで大騒ぎ

じいさまが出張ると、まぁ、家出中に寡婦になった女性に親切にしてて

まぁ、男女の関係はちょこっとあったけど、それだけ、という

元サヤに戻りましたね

勘七の同格仲間である瓢吉は、父親が岡場所の女に入れあげて両親離縁ですが

母が、再婚先から、瓢吉とその弟の逸郎を呼んでくれて

父親は訳ありだった岡場所女に捨てられて、息子二人もいなくなり

自業自得とはいえ落ち込んで、そんな父を一人にできない、と瓢吉が残ろうとすると

逸郎がひっついて離れず、母との交流は再開しつつ、同居は流れます

そして本編最大の話は

徳兵衛の一人娘、お楽の再婚話。

そこそこの商家に嫁い入りしたけど、わがままと贅沢がしみついていて、うまくいかなず

夫が急死したことで、実家に戻ってからは、兄嫁と一緒に贅沢三昧でした

で、男遊びもしていたら、ついに妊娠。でも相手は職人

贅沢をやめられない、ってことで、子供が腹にいる上での再婚話が進みだし

でもまぁ、世間知らずだけど優しい子なので、最後は職人を選びますが

その職人に帯どめの道を開いてやる、ってことの商売話の裏で

娘の妊娠と、その職人との結婚話を、回り全部が知っていた上で、徳兵衛に黙っていたことから

徳兵衛がキレて、嶋屋と絶縁する、妻とも絶縁する、って騒ぎに

最終的には、黙っていたのは、実家に居座って贅沢を継続したい

と甘いことを思っていたお楽の性根が原因だったので

お楽は、職人秋治のとこに嫁入りして、もう贅沢させてくれる実家とは縁切りする、って。

だからみんなを許してやって、って言って来る。

そして、妻のおとせが家出して、雪だし、どこに?と大騒ぎになった時

徳兵衛は、一人、流産した娘を葬った時の寺を思い出し、行ってみると、そこには妻が

離縁は成立してますが

お茶のみ友達になるのは、いいかもな、という感じで本作終了

21~22年の連載を、23年5月に初版になってます

また連載はじまらないかな。とても好きなシリーズです。

隠居おてだま

posted with ヨメレバ

西條 奈加 KADOKAWA 2023年05月31日

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