わが殿(下巻) 畠中恵 最新刊で最終巻。わが殿=土井利忠は、名君として名を遺す。ネタバレ注意。

作家買いした本の完結本。

江戸幕府末期、借金を返し、藩に種痘の病院を作り

洋風軍隊も設置して、無事に幕末を乗り切った土井利忠様

この本で初めて知りましたが、すごいお殿様だった。

もちろん、お殿様を支えた七郎右衛門他、一門も素晴らしかったですけどね。

6~10章+終章

殿の後継だった男子が亡くなります。

ほうそうで。

この時代、疱瘡は不治の病。

殿は、5人男子を得て、5人亡くしてる。

そして、手元には生まれたばかりの捨次郎様という赤ちゃんのみ。

捨てる、ってことにして、長命を願うのは、この時代よくある風趣。

で、学校作ったり、いろいろ勉強してる殿様のもと

藩の医師の中にも、外国からの牛による種痘、って方法が知られていく。

そして、日本で藩主の子としては最初に、捨次郎さまは種痘を受け

無事に育っていくわけです。

すごい

七郎右衛門の家は、家禄の安い一族ですが

4人の男子のうち、一人だけが婿にでて

残りの三人は、皆、優秀なので独立して「家」が持ててます。

これは、とっても珍しいのね。

そして、末子の弟が出仕する頃

七郎右衛門は殿に正式の面談を求めます。

その場で、すべての借金が返済できたと話すのね。

すごいことだわ・・。

12年かかりました、幕府への3万両も返済したので

もう、銅山を盗られることもない。

めでたい

七郎のいる大野藩が、藩の債務返済のめどをつけたことは

大名貸しするおおあきんど、の中では有名で

七郎の名前も、けっこう有名でした。

そんな中でも、七郎は、大野藩すべての子に種痘を打ったり

学校に藩から扶持をだしたり

西洋式軍隊を作ったりする金を、せっせとつくっていくわけです。

借金がほぼなくなったので、金利を払わないし

銅山をせっせと堀り、特産品もふやしてるからね

まさに、富国強兵。

で、西洋軍隊の訓練が、大規模に始まり、大野の民は

鉄砲や爆弾の音に驚かない人となり、これで、ちゃんと逃げられるって

七郎とか殿様は思うのね。

すばらしい

次に七郎が手を付けたのは、商人ではなく

大野藩として、店を持って売りさばくことでした。

これで、物産丸儲けです。

藩の店だから、武士を捨てて商人になる必要はなく

藩の仕事として、商きないをする道ができたから

領内の、次男、三男が、喰えるようになるのね。

これって、とっても大きい。

大野屋は、店舗数を増やしていきます。

さらに、大野藩には借金がないので、藩内で刷る藩札に信用がある。

領内で買うものには、藩札で払い

大野屋で売るときには、銀や金で売るから、さらに儲けが膨らむのね

すごいな~

そんな時、蝦夷開拓の仕事を、殿様が受けちゃう。

大野藩は幕府のために動く藩だから、外国から蝦夷を守るっていう

そういう大義名分もあった

結果的には、大野屋蝦夷店は繁盛したけど、蝦夷開拓は

幕府終了ののち、新政府にお返し、って感じで

ほぼ赤字だったみたいだけどね

ただ、この蝦夷開発の時に、大野藩は船を5隻も作っちゃって

そのうちの1隻が西洋軍船だったのね、すごい。

そんな時にも七郎は、また暗殺されかけて

堀に突き落とされて、なんとか助かったりしてます。

さらに、一揆が企てられてる、って話が出て

七郎が始末をつけろ、って反体制側に迫られますが

農民たちは、自分たちの物産が売れるようになって豊かだから

一揆なんて、思ってもいないのね。

武士の方が、食い扶持減って、貧しかったりするんだ・・。

先進的なお殿様の、金食い虫の希望を

せっせと叶えていく七郎は、最終的には家老に出世します。

そんな時、井伊大老が暗殺されたりして

幕府の先行きがあやうくなっていく。

時代に取り残されていく武士たち

先を見据えるお殿様。

そして、幕府は瓦解。

大政奉還ののち、殿様は病にたおれ、七郎が枕元にはべる間に

亡くなっていくのね。

七郎の作った大野屋は、大野藩のお殿様、捨次郎さまの代になっても

しっかり本家を守ったようです。

その後、大野屋は解散するようですが

一人の名君により、一つの藩が、豊かに新世界へと進んでいくお話。

とっても気持ちよかったです。

おススメ

わが殿 下posted with ヨメレバ畠中 恵 文藝春秋 2019年11月27日頃 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle

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