推し本。
作家買いです。
日大の理事長になって、長編を書く時間がない、とは作者さん自身の言葉です
林真理子さんの、李王家の縁談、も読みましたが、面白かった
本作は、そのスピンオフ的な、時代背景も同じころの、華族の「結婚がらみ」の連作です。
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皇后は闘うことにした 目次
1,綸言汗の如し
2,徳川慶喜家の嫁
3,兄弟の花嫁たち
4,皇后は闘うことにした
5,母より
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皇后は闘うことにした ネタバレ注意
1話目は、昭和天皇が、皇太子時代にお嫁さんを決めるときに
もめた話
これは私も知ってるくらい有名な話で
昭和天皇の皇后さまは、久邇宮家のお姫さまです
宮家の第一王女さまね
昭和天皇とお姫さまは、学習院の幼稚園時代に
一緒に遊んだことがある、らしい
で、かわいらしいお姫さまを、昭和天皇は気に入ってたんだって
でも、このお姫さまの兄上に視覚障害が見つかります
色の見分けがつかないのね
これは男性に遺伝するので、その血統が皇家に入るのはまずい、ってことで
結婚反対、の意見が重鎮から出ます
そしたら、お姫様の親父様と兄上というのは
華族でもごり押しで有名な人で
特に親父様は、右翼を使ってもごり押しを通して
結果的に、お姫様は昭和天皇の皇后になるわけです
ただ、昭和天皇はずっと皇后さまがお好きだったようなので
良かったのね
綸言汗のごとし、とは
高貴な方のお言葉は、汗のように、一度出たら取り返しはつかない、ってことで
姫様を嫁に、と一度言った以上は、婚約解消は不可、って話ね
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徳川慶喜の後継である慶久の未亡人となったのは
有栖川宮家からお嫁に来た実枝子さま
結核の初期で転地療養してる間に
旦那様が若い娘を気にいてって、娘を二人産ませていました
この時代、すでに大正だったけど
側室制度が残っていたのは、さすが徳川家というべきか
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慶久さまと実枝子さまの夫婦喧嘩はすさまじかったらしい
で、このお二人の娘が高松宮に嫁に出た喜久子さまね
こちらに子供が生まれたら
名門である有栖川家を復活させる、って話もあったらしいけど
お子様は生まれませんでした
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3作目は、久邇宮家の八男、九男、のお話
子供が増えすぎて、宮家が増えすぎるのはまずい、ってなった時に
明治天皇の4人の内親王の夫にまで、宮家をつくる、って話があり
それを受けたのが、八男と九男。
ただ、明治天皇の娘たちは、あまり器量がよくなかったんだって
徳川慶喜の子孫は、美形がそろっていたらしいけどね
写真が残ってるからね
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内親王が嫁だと、愛人もつくれない、って不満たらたらの中
軍人、って身分で海外で勉強して、嫁のとこに帰らなかったのね
滞在費は宮内省=お国のお金だったらしい
アールデコの美しい宮邸は、夫婦仲の悪い妻が、そのすべてをぶっこんだ館でしたね
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4作目は、大正天皇の妻となった節子さまの話
大正天皇は面食いだったけど
側室が置けない時代になっていたので
虚弱な大正天皇に、健康な後継を産ませるために
健康第一の娘が選ばれた
それが節子さま
九条家のお姫さまだけど、側室の子で
育つのは田舎の豪農。
彼らはとても節子を愛してくれて、節子も生涯忘れなかったって
これは、とてもいい話
ただ、大正天皇は、美人をおっかけたい人で
節子を愛したことはないみたい
それでも、床入りすれば、節子は身ごもり
4人の男子を産みます
長男の嫁は、国が選びましたが
次男から下は、すべて節子妃殿下が選んでます
皇子を産むために選ばれた皇后だから
戦って、自分の道を切り開く
うん、立派
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最後の話は、秩父宮さまの話
節子さまの次男で、長男は国家に取り上げられ
次男からをかわいがっていたけど
とりわけ、節子に似て健康的で、スポーツもできるはきはきしたとこが
節子の好みで
そんなお気に入りの嫁がせる嫁も、しっかり節子が選びました
宮家への嫁入りは、普通、公家のお姫さまからですが
秩父宮へと選ばれたのは、大名の血を引く、華族という平民
公家からみると、大名家も平民なのね
お断りしたんだけど、節子がどうしても、っていうので
最終的にはお嫁入りです
頭と気性で選んだ、という、会津の殿様の血統の姫様です
秩父宮様の養生場にも、節子さまはたびたび来たみたいですね
そして、最終的には、節子さまがお先に亡くなってます
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面白かったですよ
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posted with ヨメレバ
林 真理子 文藝春秋 2024年12月06日頃
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